一級ボイラー技士試験 A

(平成14年7月〜平成14年12月 実施分)

問1 (ボイラーの構造に関する知識)

 各種ボイラーの特徴に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)廃熱ボイラーは、高温の廃ガスの熱を利用して蒸気を発生させるもので
  ある。
(2)特殊熱媒ボイラーは、圧力に対し飽和温度が水より高い有機熱媒を使用
  する。
(3)立てボイラーは、発生蒸気中に含まれる水分が多くなりやすい。
(4)貫流ボイラーは、高圧ボイラーに適しているが、大容量ボイラーには適
  さない。
(5)炉筒煙管ボイラーや小形の水管ボイラーは、通常、据付け工事を簡略化
  するためパッケージ形式で製造されるものが多い。


問2  水管ボイラーの特徴に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)負荷変動により圧力、水位が変動しやすいので、きめ細かな調節を必要
  とする。
(2)燃焼室を自由な大きさに作れるので、燃焼が良好で、また、種々の燃料
  並びに燃焼方式に対して適応性がある。
(3)伝熱面積当たりの保有水量が少ないので、起動から所要蒸気を発生する
  までの時間が短い。
(4)直管式水管ボイラーの利点は、水管の内部の掃除や検査、管の取替えが
  容易なことである。
(5)立て水管式ボイラーは、気水ドラムと水ドラムを細い垂直管で結合した
  もので、特に高圧用に適している。


問3  鋳鉄製ボイラーの特徴に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)伝熱面積の割に据付け面積が小さい。
(2)蒸気ボイラーの場合は、圧力が0.3MPa{3kgf/cm2}まで使用できる。
(3)鋼製に比べて腐食に強い。
(4)温水ボイラーの場合は、圧力が0.5MPa{水頭圧50m}、温水温度が
  120℃まで使用できる。
(5)セクションの数は20程度まで、伝熱面積は50m2程度までが普通で
  ある。


問4  過熱器及び再熱器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)放射形過熱器は、火炉の燃焼ガスの放射熱により蒸気を加熱するもので
  ある。
(2)対流形過熱器は、ボイラーのガス通路中に設けられ、燃焼ガスの対流
  (接触)により蒸気を加熱するものである。
(3)放射対流形過熱器は、火炉の出口近くに配置され、燃焼ガスの放射と煙
  道ガスの対流とにより蒸気を加熱するものである。
(4)再熱器は、過熱蒸気がタービン中で膨張して飽和蒸気に近づいたものを
  取り出し、再び熱を加えてタービンに送り、蒸気タービンの熱効率を向上
  させる。
(5)再熱器には熱ガス再熱器と蒸気再熱器とがあるが、蒸気再熱器が一般的
  である。


問5  蒸気弁に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)アングル弁は、蒸気の入口と出口の方向が直角になっている。
(2)玉形弁は、蒸気の流れが弁内でS字形になるため抵抗が大きい。
(3)仕切弁は、蒸気が直線状に流れ、抵抗は非常に小さい。
(4)逆止め弁は、蒸気の逆流防止のために用いられる弁で、ブロー管に設け
  られる。
(5)ブロー弁には、仕切弁又はY形弁が用いられ、玉形弁は用いられない。

問6  ボイラーの附属品及び附属装置に関する次の記述のうち、誤っているものは
どれか。

(1)気水分離器の形式の一つに、重ねた網目に蒸気を通し蒸気中の水分を取
  るデミスタがある。
(2)給水加熱器は、蒸気を使用するものと排熱を利用するものとがある。
(3)スチームアキュムレータは、余分の蒸気を蒸気のまま蓄えるもので、変
  圧式と定圧式の2種類がある。
(4)蒸気トラップは、蒸気使用設備中にたまった復水(ドレン)を自動的に
  排出する装置である。
(5)沸水防止管は、蒸気室頂部に設けられた多数の穴のあいたパイプ状のも
  のであって、取り出す蒸気に水滴を混じりにくくする。


問7  圧力計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)ブルドン管は、断面が真円形の管を円弧状に曲げ、その一端を固定し他
  端を閉じ、その先に歯付扇形片をかみ合わせたもので、圧力が加わると管
  の円弧が広がり、歯付扇形片が動く構造となっている。
(2)圧力計を、胴に直接取り付けると蒸気がブルドン管に入り、熱せられ
  て、温度が高くなり狂うおそれがあるので、普通サイホン管を胴と圧力計
  との間に取り付け、その中に水を入れてブルドン管に蒸気や高温の水が直
  接入らないようにする。
(3)圧力計は、胴又は気水ドラムの一番高い位置に取り付けるのが原則であ
  り、一般にはブルドン管式のものが使用される。
(4)圧力計を取り付ける場合は、垂直に取り付け、圧力計のすぐ下にコック
  を取り付ける。
(5)コックは、ハンドルが管軸と同一方向になった場合に開くようにしてお
  かなければならない。


問8  溶接に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)応力除去により、溶接部の残留応力を緩和するとともに、溶接部を軟化
  し、溶接部の性質を向上させる。
(2)アーク溶接は、溶接しようとする2つの鋼材の接合面に大電流を流し、
  この抵抗熱により接合部を溶かして接合する。
(3)突合せ片側溶接の開先は、板厚12〜38mmではU形、板厚6〜16mm
  ではV形とする。
(4)管の溶接には、不活性ガスを用いるティグ溶接(タングステンイナート
  ガスアーク溶接)やミグ溶接(金属イナートガスアーク溶接)も使用され
  る。
(5)溶接継手の効率は、溶接の方法(継手の種類、余盛りの削り方)、鋼材
  の種類及び放射線検査の実施の有無によって異なる。


問9  鏡板等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)皿形鏡板など球面殻から成る鏡板は、工作が面倒で加工に費用がかかる
  が、平鏡板に比べ強度が大きいので、一般のボイラーの鏡板はほとんどこ
  の形となっている。
(2)皿形鏡板の環状殻にボイラーの圧力によって生ずる応力は、その内半径
  が大きくなるほど、大きくなる。
(3)鏡板の炉筒取付部周辺にはステーを用いず、炉筒の伸縮作用を自由に行
  わせるようにする。このすき間部分をブリージングスペース(息つき間)
  という。
(4)ガセットステーは、一端が胴板に、他端が鏡板に取付けられて鏡板を補
  強している。
(5)管板には管穴を設け、この管穴に煙管を挿入し、ころ広げ又は溶接によ
  って取り付ける。


問10  制御動作に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)オン・オフ動作において、操作量を一つの値から他の値に変えるために
  は、制御量にある値の幅が必要であり、この制御量の変化の幅を動作すき
  間(入切り差)という。
(2)オン・オフ動作は、比較的小容量のボイラーの圧力、温度、水位などの
  制御に用いられており、最も一般的な方式である。
(3)比例動作は、P動作ともいわれ、制御偏差に比例して操作量を増減する
  もので、オフセットが生じない動作である。
(4)微分動作は、偏差が変化する速度に比例して操作量を増減するように働
  く動作で、D動作ともいう。
(5)積分動作は、制御偏差量に比例した速度で操作量を増減させるもので、
  I動作ともいわれ、この動作は単独で用いられることがなく、比例動作等
  と組み合わせて用いられる。


問11 (ボイラーの取扱いに関する知識)

 ボイラーの点火前の点検と準備に関する次の記述のうち、誤っているものは
どれか。

(1)水面計の水位が標準水位であることを確認し、高いときは標準水位にな
  るまでブローする。
(2)ボイラー水をブローし、ブローコック、ブロー弁の機能を点検し、異常
  がなければ漏れのないように確実に閉止しておく。
(3)給水タンクの水量を点検し、十分な量であることを確認する。また、給
  水管路の弁が確実に開いていること及び給水装置の機能が正常であること
  を確認する。
(4)煙道の各ダンパを半開して、炉内及び煙道内の換気を行う。通風機があ
  る場合には、これを運転して換気する。
(5)油加熱器を起動し、油の温度を適正に保つ。油加熱器が冷えているとき
  は、加熱蒸気のドレンを排除してから加熱する。


問12  ボイラーの圧力上昇時の留意事項として、誤っているものは次のうちどれ
か。

(1)蒸気が発生し始めたらボイラー内の空気を空気抜き弁から排出し、排出
  を終えたら空気抜き弁を閉じる。
(2)ボイラー水の温度が高くなっていくと、水位が下がるので、給水して常
  用水位まで回復させる。
(3)整備した後、直ぐに使用を始めるボイラーでは、マンホール、掃除穴な
  どのふた取付部は、漏れの有無にかかわらず増し締めを行う。
(4)エコノマイザ内で蒸気の発生を防ぐため、ボイラー水の一部ブローと給
  水を行い、内部の水を交換する。
(5)空気予熱器には、不同膨張を起こさせないため、初めから高温の燃焼ガ
  スを通さないようにする。


問13  安全弁の調整等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)最高使用圧力の異なるボイラーが連絡している場合の安全弁の調整は、
  最高使用圧力の最も低いボイラーを基準に調整する。
(2)エコノマイザに取り付けた逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体に取り
  付けた安全弁より後で吹き出すよう調整する。
(3)過熱器に取り付けた安全弁は、ボイラー本体に取り付けた安全弁より高
  い圧力で吹き出すよう調整する。
(4)安全弁の手動試験は、最高使用圧力の75%以上のときに行わないと、
  弁座に異物が付着しやすい。
(5)安全弁が吹止り圧力以下で漏れる場合には、テストレバーを動かして弁
  の当たりを変えてみる。


問14  ボイラー水の吹出しに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)ブローに際して圧力がないとスラッジなどの排出ができないので、燃焼
  が大で蒸気圧力の高いときを選んでブローを行う。
(2)ブローに当たっては、漸開弁を先に開け、次に急開弁を開ける。
(3)鋳鉄製ボイラーは、復水を回収するので、ブローをひんぱんに行わなく
  てはならない。
(4)水管理を十分に行えば、水冷壁のブローはあまり考慮しなくてもよい。
(5)1人で2基以上のボイラーのブローを同時に行うときは、特にバルブ操
  作を誤らないように注意しなければならない。


問15  ボイラーの清掃等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)燃焼ガス側の清掃は、伝熱面に付着するすす等による伝熱効率の著しい
  低下を防止するために行う。
(2)燃焼ガス側の清掃は、すすや灰が湿気を吸収すること等による腐食を防
  止するためにも行う。
(3)スートブローは、ダンパの開度を絞り通風力を小さくして行う。
(4)スートブロワが複数の場合は、燃焼ガスの流れに沿って上流側からスー
  トブローを行う。
(5)煙道などに入って燃焼ガス側の清掃を行う際は、換気、通風などのた
  め、ダンパを適正に開いておくほか、外部に監視者をおくなどの措置が必
  要である。

問16  次の文中の (   ) 内のA及びBに入れる用語の組合わせとして正しいもの
は(1)〜(5)のうちどれか。

 「単純軟化法は、( A ) イオン交換樹脂を使用した ( B ) に給水を通過さ
せて、水の硬度成分であるカルシウム及びマグネシウムを樹脂に吸収させる。」
     A          B
(1)強酸性陽        Na 塔
(2)アルカリ性陽     Na 塔
(3)中性         Na 塔
(4)酸性陰        CO2膜
(5)弱アルカリ性陰    CO2膜


問17  水中の不純物に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)溶解性蒸発残留物は、ボイラー内で蒸発により濃縮し、スケールやかま
  どろ(スラッジ)となり、また、腐食の原因となるものがある。
(2)かまどろは、主としてカルシウム、マグネシウムなどの炭酸水素塩類が
  加熱されることにより生ずる。
(3)浮遊物には、りん酸カルシウムなどの不溶物質、微細なじんあいなどが
  あり、キャリーオーバの原因となる。
(4)スケールの熱伝導率は、軟鋼に比べ著しく低く、ボイラーの伝熱面に付
  着するとボイラー効率が低下する。
(5)溶存している二酸化炭素(CO2)は、低pHの水による軟鋼の腐食の増
  進には関係しない。


問18  蒸発量が1日35tの炉筒煙管ボイラーで、塩化物イオン濃度が10mg/リ
ットルの給水を行い、100リットル/hの連続ブローを行う場合、ボイラー
水の塩化物イオン濃度の計算上の近似値は、次のうちどれか。

(1)100mg/リットル
(2)120mg/リットル
(3)150mg/リットル
(4)180mg/リットル
(5)200mg/リットル


問19  プライミングやフォーミングが突発的に起きたときの措置として、正しいも
のは次のうちどれか。

(1)給水を行い、ボイラー水の温度を下げて水位を安定させる。
(2)燃焼量を増し、蒸発量を多くして水位を安定させる。
(3)蒸気弁を全開して発生蒸気を放出し、ボイラーの圧力を下げて水位を安
  定させる。
(4)給水し、通常の水位より高い水位にする。
(5)ボイラー水の一部を吹出し、新しい水を入れる。


問20  ボイラーの劣化・損傷に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)か性ぜい化(アルカリ劣化)は、材料が過熱されたことが主原因で生ず
  る。
(2)膨出の生じやすい部分として、炉に面する水管がある。
(3)グルービングは、水に含まれる二酸化炭素、酸類の作用により生ずる。
(4)鋳鉄製ボイラーの各セクションに割れが生ずる原因の大部分は、か性ぜ
  い化によるものである。
(5)ピッチングは、繰返し応力による材料の疲労から生ずる。


(終り)

一級ボイラー技士試験 B

問1 (燃料及び燃焼に関する知識)

 燃料及び燃焼に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)燃焼とは、光と熱の発生を伴う急激な酸化反応である。
(2)燃焼には、燃料、空気、温度の三つの要素が必要とされる。
(3)液体燃料の燃焼方式には、芯式と噴霧式燃焼法がある。
(4)発熱量は、固体燃料又は液体燃料中の水素の質量よりも炭素の質量によ
  り大きく異なる
(5)低発熱量とは、水蒸気の凝縮熱(潜熱)を含まない発熱量で真発熱量と
  もいう。


問2  炭素1kgを空気中で燃焼させるのに必要な理論空気量の近似値は、次のうち
どれか。
 ただし、空気中に含まれる酸素は、容積比で21%であり、炭素が完全燃焼
して二酸化炭素(炭酸ガス)となる反応式は次のとおりである。
 C+O2=CO2(分子量C=12、O2=32)
 また、計算に当たっては小数点第二位を四捨五入するものとする。

(1) 5.6m3N
(2) 8.9m3N
(3)11.2m3N
(4)22.4m3N
(5)26.7m3N


問3  重油の性質に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)一般に、密度が大きい重油は粘度が高い。
(2)凝固点とは、油が低温になって凝固するときの最高温度をいう。
(3)密度の小さいものは、大きいものより単位質量あたりの発熱量が大きい。
(4)流動点とは、重油を一定条件下で冷却していき、試験管中の重油を傾け
  ても5秒間動かなくなった温度より2.5℃高い温度をいう。
(5)重油を加熱すると、その粘度が上がる。


問4  気体燃料に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)コークス炉ガスとは、石炭を1000℃前後の温度で乾留して得られる
  ガスである。
(2)都市ガスは、ガスの種類により組成及び燃焼性が異なる。
(3)液化天然ガス(LNG)は、都市ガス用燃料として輸入が増大してい
  る。
(4)天然ガスは、性状から乾性ガスと湿性ガスに大別されるが、湿性ガスは
  可燃性分のほとんどがメタン(CH4)である。
(5)一般に、気体燃料の火炎は熱放射が小さい。


問5  過剰空気に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)空気比とは、過剰空気の量と理論空気量との比である。
(2)過剰空気が多すぎると、燃焼温度が低下する。
(3)過剰空気が少なすぎると、黒煙が出やすい。
(4)過剰空気が少なすぎると、燃料が十分に燃焼しない。
(5)過剰空気が多すぎると、ボイラー効率が低下する。

問6  人工通風の得失に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)煙突による通風力は、外気の密度、煙突ガスの密度、煙突の高さにより
  定まる。
(2)誘引通風には、直接誘引通風方式と、間接誘引通風方式とがあるが、一
  般に直接誘引方式が広く採用される。
(3)直接誘引通風方式は、押込み通風方式に比べ大型のファンを必要とし、
  また、ファンが損傷しやすい。
(4)平衡通風方式は、通風抵抗の大きなボイラーでも強い通風力が得られ
  る。
(5)平衡通風方式では、通常、燃焼室内を大気圧より高い圧力になるように
  調整する。


問7  重油燃焼装置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)高圧気流噴霧式油バーナは、噴霧粒が細かく、粗悪油でも霧化すること
  ができるが、噴油量調節の範囲が狭い。
(2)低圧気流噴霧式油バーナは、霧化用空気を2つの流れに分割し、一部の
  空気により噴射する燃料油に中空円すい状の油膜を形成し、他の空気で油
  膜を微細化する。
(3)油圧噴霧式油バーナの霧化媒体は、蒸気又は空気であり、その圧力は
  0.3〜0.4MPa{3〜4kgf/cm2}となっている。
(4)エアレジスタは、燃料油を霧状に微細化して、バーナ中心から炉内に向
  けて円すい状に噴射する装置である。
(5)ロータリーバーナは、高速で回転するカップ状の霧化筒の外側に燃料を
  滴下し、遠心力で霧化する。


問8  燃焼室に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)燃焼室の大きさは、燃料、特に発生可燃ガスの燃焼を完結させるのに必
  要なものとする。
(2)着火が容易な構造とする。このため、必要に応じてバーナタイルあるい
  は着火アーチを設ける。
(3)燃焼室温度が低すぎると不完全燃焼となる。
(4)燃焼室温度が高すぎると放射伝熱面及び炉壁の熱負荷を高め、これらを
  焼損しあるいは高温障害を起こす。
(5)燃焼室熱負荷とは、単位時間における燃焼室の単位面積当たりの発生熱
  量をいい、kJ/(m2・h){kcal/(m2・h)}で表される。


問9  重油燃焼ボイラーの伝熱面の低温腐食を防止するための措置として、誤って
いるものは次のうちどれか。

(1)火炎温度を調整し、H2SO4(硫酸)蒸気の露点を上げる。
(2)蒸気式空気予熱器を用いるか、又は燃焼ガスの再循環を行い、伝熱面の
  表面温度が低くならないようにする。
(3)低温伝熱面に耐食材料を使用する。
(4)低酸素燃焼を行い、SO2(二酸化硫黄)の酸化を制限する。
(5)燃焼室及び煙道への空気の侵入を防止し、伝熱面の温度低下を防ぐ。


問10  蒸発量が毎時10t、ボイラー効率が90%、燃料消費量が毎時750kgの
ボイラーに使用された重油の低発熱量の近似値は次の(1)〜(5)のうちどれか。
 ただし、発生蒸気の比エンタルピは2780kJ/kg{664kcal/kg}、給水
の比エンタルピは100kJ/kg{24kcal/kg}とする。

(1)38780kJ/kg{9264kcal/kg}
(2)39000kJ/kg{9317kcal/kg}
(3)39700kJ/kg{9498kcal/kg}
(4)40730kJ/kg{9730kcal/kg}
(5)41080kJ/kg{9810kcal/kg}

問11 (関係法令)

 ボイラー技士免許に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれ
か。

(1)免許証を損傷したときは、住所を管轄する労働基準監督署長に再交付申
  請をする。
(2)現にボイラー取扱業務に就いている者が氏名又は本籍を変更したとき
  は、免許証の書替えを受けなければならない。
(3)免許証を他人に貸与したときは、免許を取り消されることがある。
(4)満18歳以上の者でないと、免許を受けることができない。
(5)ボイラー取扱いについて、重大な過失により重大事故を起こしたとき
  は、免許の取消し又は免許の効力停止の処分を受けることがある。


問12  ボイラー取扱作業主任者を選任する基準となる伝熱面積の算定方法として、
法令上、誤っているものは次のうちどれか。

(1)胴の内径が750mmで、かつ、その長さが1500mmの蒸気ボイラー
  は、伝熱面積に算入する。
(2)伝熱面積が10m2の温水ボイラーは、伝熱面積に算入する。
(3)伝熱面積が300m2の貫流ボイラーは、伝熱面積を30m2として算入
  する。
(4)伝熱面積が3m2の蒸気ボイラーは、伝熱面積に算入しない。
(5)伝熱面積が20m2の貫流ボイラー(気水分離器を有しない。)は、伝
  熱面積に算入しない。


問13  ボイラー室の管理等に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれ
か。

(1)移動式ボイラーにあっては、ボイラー検査証又はその写をボイラー取扱
  作業主任者に所持させること。
(2)ボイラー室に、引火しやすいものを持ち込むときは、所轄労働基準監督
  署長の許可を受けること。
(3)ボイラー室には、修繕工具や水面計などの予備品等のボイラーの運転操
  作に直接必要のないものを持ち込まないようにすること。

(4)ボイラー室に障壁を設けないで、重油タンクを設置するときは、原則と
  してボイラーの外側から1.2m離しておくこと。
(5)燃焼室、煙道等のれんがに割れが生じたときは、所轄労働基準監督署長
  に報告したのちに補修すること。


問14  ボイラー(小型ボイラーを除く。)の定期自主検査に関する次の記述のう
ち、誤っているものはどれか。

(1)1月を超える期間使用しない場合、その期間は定期自主検査を実施する
  必要はない。
(2)定期自主検査は、その結果を記録し、これを3年間保存しなければなら
  ない。
(3)1月を超える期間使用しなかったボイラーを再び使用しようとするとき
  は、定期自主検査を行わなければならない。
(4)定期自主検査の項目として定められているものは、ボイラー本体、吹出
  装置、燃焼装置及び自動制御装置の4項目である。
(5)定期自主検査は、使用を開始した後、1月以内ごとに1回、定期に、行
  わなければならない。


問15  溶接により製造される現地組立て式水管ボイラーについて、製造から使用ま
での法的手続きの順序として、正しいものは次の(1)〜(5)のうちどれか。
 ただし、Aは製造許可、Bは構造検査、Cは溶接検査、Dは設置届、Eは落
成検査を表す。

(1)A → B → C → D → E
(2)A → C → D → B → E
(3)A → D → B → C → E
(4)A → B → D → C → E
(5)A → C → E → D → B

問16  ボイラー構造検査に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれ
か。

(1)溶接によるボイラーは、溶接検査に合格した後でなければ構造検査を受
  けることができない。
(2)構造検査を受ける者は、安全弁(温水ボイラーの場合は逃し弁)及び水
  面測定装置(蒸気ボイラーで水位の測定を必要とするものの検査の場合に
  限る。)を取りそろえておかなければならない。
(3)構造検査を受ける者は、水圧試験の準備をしなければならない。
(4)構造検査を受けようとする者は、ボイラー構造検査申請書にボイラー明
  細書を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
(5)構造検査を受ける者は、当該検査に立ち会わなければならない。


問17  ボイラー(小型ボイラーを除く。)の次の部分又は設備を変更しようとする
とき、ボイラー変更届を所轄労働基準監督署長に提出する必要がないものはど
れか。

(1)給水装置
(2)燃焼装置
(3)ボイラーの据付基礎
(4)管ステー
(5)鏡  板


問18  最高使用圧力1.5MPa{15kgf/cm2}、伝熱面積が97m2の2胴形水管
ボイラーに取り付けられた水面測定装置として、法令上、誤っているものは次
のうちどれか。

(1)水柱管には、呼び径15Aの吹出し管が取り付けられている。
(2)水柱管には、鋳鉄製のものを使用している。
(3)水面計のガラス管は、最下端を安全低水面を指示する位置に取り付けら
  れている。
(4)水柱管とボイラー本体とを結ぶ水側連絡管をボイラーに取り付ける口の
  位置は、水面計で見ることができる最低水位より下としている。
(5)水柱管に平形反射式水面計が2個取り付けられている。


問19  ボイラーの給水装置等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)蒸気ボイラーには、最大蒸発量以上を給水することができる給水装置を
  備えなければならない。
(2)貫流ボイラーには、給水管の逆止め弁を省略することができる。
(3)自動給水調整装置は、蒸気ボイラーごとに設ける必要はない。
(4)近接した蒸気ボイラー2基を結合して使用する場合には、2基を1の蒸
  気ボイラーとみなし、給水装置を設置することができる。
(5)伝熱面積が10m2を超える蒸気ボイラーの給水弁の呼び径は、20A
  以上としなければならない。


問20  次の文中の (   ) 内に入れるA,B及びCの数字の組合せとして、法令
上、正しいものは(1)〜(5)のうちどれか。

 「蒸気ボイラーの安全弁の呼び径は ( A ) mm以上としなければならない
が、最高使用圧力 ( B ) MPa{( B' ) kgf/cm2}以下の蒸気ボイラーで胴の
内径が500mm以下であり、かつ、その長さが1000mm以下のものは、その
呼び径を ( C ) mm以上とすることができる。」

     A     B    B'   C
(1) 20   0.3   3   15
(2) 20   0.4   4   15
(3) 25   0.4   4   20
(4) 25   0.5   5   20
(5) 25   0.5   5   22


  (終り)